2013年「防衛大学校学生保険金詐欺事件」について

学生が主犯となった防衛大学校学生保険金詐欺事件とは?

防衛大学校学生保険金詐欺事件とは、2013年に防衛大学校で起こった、詐欺事件です。
在校生が、本当はケガをしていないのに虚偽の入院申請を行って保険金を不正に受け取ったのが、防衛大学校学生保険金詐欺事件です。

顛末とその後にも発生した詐欺事件

防衛大学校学生保険金詐欺事件が発覚したのは、2013年の6月に保険会社が防衛大学校に、保険金請求の問い合わせを行ったのことがきっかけでした。
問い合わせを受けて学校側が調査したところ、実際にはケガをしていないのに負傷をして入院したと偽って、保険会社から保険金をだまし取っていた学生がいたことが明らかになったのです。
詐欺の手口は、パソコン作成した偽の受診カードを使って保険金の請求を行うというものでした。
請求額が10万円未満であれば診断書を提出しなくても保険金が申請ができるので、保険金をだまし取りやすかったと指摘されています。

また、防衛大学校の学生が加入する団体保険を取り扱う保険会社は、自衛隊員の天下り先でもありました。
このため、防衛大学校の学生からの保険金請求の申請に対し審査が緩いといわれており、学生の間には「ケガをしたと偽れば、簡単に保険金が下りる」とウワサになっていました。
このうわさを聞きつけた5人の学生が、保険金詐欺を実行します。
虚偽の入院申請によって、1人につき数十万円の保険金をだまし取ったのです。

しかし、その後の調査によると、保険金詐欺に関わっといたのは5人だけではありませんでした。
少なくとも18人の学生が、虚偽の申請によって不正に保険金を受け取っていたことがわかっています。
防衛省の発表によると、学生18人が2010~2013年の間に不正に受けとった保険金は合計で約490万円に上るとのことです。

複数の学生が関わった詐欺事件として大きな話題を呼びましたが、その後も防衛大学校では詐欺事件が発生しています。
2019年、防衛大学校に勤務する40代の教員が福利厚生として支払われる補助金を不正にだまし取ったとして、懲戒免職処分を受けたのです。
その教員は、妻が経営する貸別荘に宿泊した自衛隊員とその家族の人数を実際より多く申請し、補助金を不正に受け取っていました。

防衛大学校では提携する宿泊施設を利用すると、1泊につき1人2000円の補助金が支給されます。
この制度に目を付けた教員は、学生に「補助金申請に必要な学生カードを提出してくれたら、謝礼を渡す」と持ちかけて、カードを集めました。
そしてこのカードを使って、妻が経営する貸別荘に宿泊したかのように偽装したのです。
これによって得た補助金の一部を学生に渡し、残りの約33万円を教員が不正受給していました。