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成人式当日に倒産したレンタル着物会社「はれのひ」

よりよって成人式当日に倒産!「はれのひ」事件とは?

一生に一度の晴れの行事、成人式は一人前の大人と認められ、責任ある社会人としての前途を祝う日です。
この大切な日に、「はれのひ」という社名のレンタル着物会社が倒産し、世間から注目を集めました。
はれのひで晴れ着をレンタルしたユーザーの多くが、この倒産のために振り袖が手元に届かず、成人式を台無しにされたのです。

心に傷を残した「はれのひ」倒産事件

よりにもよって成人の式の当日に破産をし、一生に一度の日を台無しにした社長に対して多くの人々がその無責任社を非難しました。
もともと「はれのひ」は、呉服店や写真館を対象にした経営コンサルティング会社として2008年に設立された会社で、設立当時の社名はシーン・コンサルティングでした。
2013年に横浜に着物のレンタルショップ「はれのひ」を開業し、以降神奈川県内や八王子、福岡などレンタルショップを展開し、社名も「はれのひ」に変わりました。

急速に店舗数を拡大したことで、大量に着物を仕入れるはれのひは呉服問屋から優良客として優遇されるようになり、積極的な営業戦略を進めるようになります。
その結果、2015年の年商は約3億8,000万円となり、前年比の倍を記録するほどの成長を遂げています。
その後も2016年に株式上場を視野に入れた経営戦略をとるなど、経営陣はさらなら成長の意欲を高めていました。

しかし、2016年頃から売り上げに陰りが見え始めます。
仕入代金の滞納が発生し始めたのです。
2017年になると銀行からの借金返済も困難になり、呉服問屋など取引先から警戒される事態に陥ります。
その結果、着物が仕入れられずにさらなる経営悪化を招く悪循環となったのです。

このような事態になっても、「はれのひ」の社長は顧客や取引先になんのフォローも行っていませんでした。
このため、レンタルショップはれのひを利用した顧客の多くが多大な被害を受けたのです。

せっかくお金を払ったのに晴れ着が届かないということで、金銭的な被害を受けたのは当然です。
しかし、一生に一度の成人式に着ていく晴れ着がないという心の傷は金銭では補えません。
成人式を迎えた若者と、我が子の成人を心待ちにしていた家族の心を深く傷つけることになりました。
はれのひの社長は、経営者として無責任と非難されても仕方がないでしょう。

同業の着物レンタル店も、1件の不祥事が着物レンタル業界全体の信用を落としたことで大きな迷惑を受けています。
はれのひの倒産によって不信感が高まり、それ以降も利用者から「お宅は当日に倒産するようなことはないのか?」「当日に必ず晴れ着を届けるという誓約書を書いてほしい」など、問い合わせや要望が増えたというのです。
このため、料金を成人式が終わってからの後払いにせざるを得ない業者もあったということです。

中古車業者の例

中古車業界を大きく揺るがした「ビッグモーター」

中古車の購入や販売において、中古車業者は重要な役割を果たしています。
さまざまな業者が存在しますが、その中でも大きなシェアを誇っていたのがビッグモーターでした。
約10年で売上高を8倍を達成するなど、急成長する企業として注目されていましたが、2023年に板金・塗装において自動車保険の不正請求が行われていたことが発覚し、業界を震撼させました。

具体的には、損傷していない箇所についても板金・塗装修理を行ったと、虚偽の報告をしていたというものです。
この不正請求に損害保険代理店の損害保険ジャパンが関わっていたことも明らかになり、波紋はますます広がりました。

マイカーを守るのは自分だけ!信頼できる中古車業者の見分け方

中古車の購入や販売では、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
ビッグモーターのような不正取り引きを行う業者に遭わないためにも、次の点に注意しましょう。

まず1点目は、お店の口コミ情報を調べることです。
接客態度やアフターケアなど、実際に利用したユーザーの声を確認しましょう。
2点目は販売価格の内訳を確認することで、コーティング費用など不要なオプション料金が含まれているケースがありますから、提示されている料金が妥当であるか内訳をしっかりと確認しましょう。
3点目は購入希望者の事故歴や修理歴を確認することで、走行距離や年式の確認は基本中の基本ですが、事故車や故障車の購入を避けることも大切です。

そして中古車を売るときは、以下の点に注意してください。
1点目は、こちらも口コミを調べておくことで、購入時と同様にユーザー満足度の高いお店を選ぶことが大切です。
2点目は複数の業者に見積もりを依頼することで、1社だけでは相場より低い査定額を出されても判断できません。
複数社に査定を依頼することでおおよその相場が分かり、適正価格で買取ってもらえます。

3点目は、買取に出す前に車の全体像を動画で撮影しておくことです。
引き渡し後にキズを付けられたのに、最初からキズがついていたとして査定額が低くなるなどの事例が報告されていますから、証拠なる画像を撮影しておきましょう。
なおその際、事故歴や修理歴がある場合は隠さずに正直に伝えることも大事です。

4点目は、口約束ではなく契約書を交わすことです。
買取では、査定後に故障がみつかったなどの理由で買取価格が引き下げられる事例もありますので、そのような場合に備えて契約書を作成し、お互いが納得してから取り引きをすることが大切です。
事故歴や修復歴を正直に伝えていれば、契約後に故障がみつかった場合でも減額の理由にはなりません。
契約書があれば法的な効力を発揮するので、口約束ではなく必ず正式な書類を交わしましょう。
中古車の購入も販売も、信頼できる良心的な業者を見つけることが大切です。

手口が巧妙なSNSのアカウント乗っ取り

進化するSNSアカウント乗っ取りの手口

LINEやX、Instagram、FacebookなどのSNSは、日常生活や仕事に欠かせないコミュニケーションツールです。
しかし、世界的な普及に伴いSNSのアカウント乗っ取りを狙った犯罪も増えてきました。
アカウント乗っ取りの手口は多岐にわたっており、詐欺師は常に新しい方法を模索し、進化させています。

主な手口の1つ目に、フィッシング詐欺があります。
メールなどで偽のログインページに誘導してログイン情報を入力させ、それらの情報をだまし取る手法です。
ログインページで入力された情報は詐欺師に直接送信され、アカウントの乗っ取りに利用されます。
2つ目はマルウェア詐欺で、パソコンやスマホなどに送り込まれる悪意あるソフトウェアです。
メールやダウンロードしたファイルからマルウェアが気付かないうちに入り込み、SNSアカウントのログイン情報を盗み取ります。

さらに、個人情報漏洩によってログイン情報が第三者に渡るケースも少なくありません。
これらの個人情報を売買する専門業者も存在します。

誹謗中傷から詐欺まで!乗っ取りによるリスクとは?

何らかの手口でアカウントが乗っ取られると、詐欺師はあなたのアカウントを使って、さまざまな悪事に利用することができます。
例えば、あなたのアカウントを使って誰かを誹謗中傷したり、ニセの情報をSNS上に拡散させたり、フォロワーからさらに別の個人情報を盗もうとするケースがあります。
このような行為は社会的な信頼を著しく損ね、その結果アカウントを凍結されたり、周囲からの信用を失うなどの被害に遭うこともあるのです。

あなたの名前で犯罪が行われることもあります。
乗っ取ったアカウントを使って電子マネーを盗み取るためのメッセージを送り、第三者から金銭をだまし取る手口が数多く報告されています。
あなたの個人情報が詐欺師に知られるだけでなく、さらなる犯罪などに悪用される可能性が高いため、SNSのログイン情報は安易に人に教えない、パスワードも簡易のものにしないよう注意しましょう。

SNSでは不正なログインを防ぐために、認証番号制度を採用しています。
これは、いつもとは違うスマホやパソコン、タブレットなどからログインがあった場合、通常使っている端末に認証番号を送り、その認証番号を入力しないとSNSは使えないという仕組みです。
詐欺師が不正ログインを試みた場合、あなたの端末に認証番号が送信されることがありますが、他人があなたから認証番号を聞き出そうと接触してきても教えてはいけません。

不審なメッセージを受け取った場合、安易に返事をしないことが大事です。
友人かどうかわからない場合は、直接その友人に電話などで確認しましょう。
また、パスワードは生年月日など他人が推測しやすいものではなく複雑なものを使い、定期的に変更することも大切です。

よく知られているはずなのに騙される人がいる「ナイジェリアの手紙」

インターネット詐欺の古典的手口「ナイジェリアの手紙」とは?

インターネットの普及により詐欺行為も増加し、しかもその手口は年々巧妙化しています。
特によく知られているのが「ナイジェリアの手紙」と称される詐欺手口で、有名な詐欺の手口ですが、それでもなお被害に遭う人が後を絶ちません。

「ナイジェリアの手紙」とは、高額な遺産や資金を持つと自称する人物から「隠し資産をあなたの口座に移動させるために、銀行口座の番号を教えてください」などの依頼メールが送られてくるというものです。
このような詐欺の大半がナイジェリアから電子メールで送られてきた過去があるため、「ナイジェリアの手紙」と呼ばれています。
特徴としては「高額な資金の移動を伴う」内容で、「法的な手続きや納税を理由に、前金が要求される」ことや「秘密厳守を強く求められる」ことが多いことが挙げられます。

例えば、ある日突然ナイジェリアの高級官僚の息子を自称する男性から、「先日遺産相続したお金を秘密裏に海外に移したい」という内容のメールが届きます。
そして、「ついては、一時的にあなたの口座に私のお金を入金させてほしい」とお願いされるのです。
もちろん、謝礼として大金を支払うと約束してくれます。
このような手口によって銀行口座の番号を聞き出したり、法的な手続きのための手数料を一時的に立て替えて欲しいなどと要求して金銭をだまし取るのです。

年々巧妙化する「ナイジェリアの手紙」の手口

「ナイジェリアの手紙」の手口は、年々より複雑に、より巧妙になっています。
詐欺師はターゲットの社会的背景や興味・関心事項を調査し、より効果的な方法でアプローチして組ます。
政府機関や金融機関を装う、SNSやメールを通じて恋愛関係に持ち込むなど、相手を信用させてお金をだまし取る手口もみられます。

ナイジェリアの手紙の詐欺に合わないためには、差出人に心当たりがないなど、不審なメールは開かずにそのまま削除することです。
もしメールを開いた場合でも、高額な取引提案のメールは安易に信じないでください。
そして、銀行口座やクレジットカードの番号を求められても、決して教えないでください。

メールの送り主が金融機関やクレジットカード会社であっても信じてはいけません。
これらの信用を取り扱う企業は、口座やクレジット番号などをメールで確認してくることは一切ないからです。
このような情報をメールで尋ねてくること自体が詐欺の証拠です。

そして、メールに書かれているURLを安易にクリックしないことも大事です。
セキュリティ対策として、パソコンや端末のOSやインターネットブラウザはこまめにアップデートを行い、常にセキュリティを最新バージョンにしておきましょう。
同時に、最新のウイルス対策ソフトを導入することをおすすめします。

2013年「防衛大学校学生保険金詐欺事件」について

学生が主犯となった防衛大学校学生保険金詐欺事件とは?

防衛大学校学生保険金詐欺事件とは、2013年に防衛大学校で起こった、詐欺事件です。
在校生が、本当はケガをしていないのに虚偽の入院申請を行って保険金を不正に受け取ったのが、防衛大学校学生保険金詐欺事件です。

顛末とその後にも発生した詐欺事件

防衛大学校学生保険金詐欺事件が発覚したのは、2013年の6月に保険会社が防衛大学校に、保険金請求の問い合わせを行ったのことがきっかけでした。
問い合わせを受けて学校側が調査したところ、実際にはケガをしていないのに負傷をして入院したと偽って、保険会社から保険金をだまし取っていた学生がいたことが明らかになったのです。
詐欺の手口は、パソコン作成した偽の受診カードを使って保険金の請求を行うというものでした。
請求額が10万円未満であれば診断書を提出しなくても保険金が申請ができるので、保険金をだまし取りやすかったと指摘されています。

また、防衛大学校の学生が加入する団体保険を取り扱う保険会社は、自衛隊員の天下り先でもありました。
このため、防衛大学校の学生からの保険金請求の申請に対し審査が緩いといわれており、学生の間には「ケガをしたと偽れば、簡単に保険金が下りる」とウワサになっていました。
このうわさを聞きつけた5人の学生が、保険金詐欺を実行します。
虚偽の入院申請によって、1人につき数十万円の保険金をだまし取ったのです。

しかし、その後の調査によると、保険金詐欺に関わっといたのは5人だけではありませんでした。
少なくとも18人の学生が、虚偽の申請によって不正に保険金を受け取っていたことがわかっています。
防衛省の発表によると、学生18人が2010~2013年の間に不正に受けとった保険金は合計で約490万円に上るとのことです。

複数の学生が関わった詐欺事件として大きな話題を呼びましたが、その後も防衛大学校では詐欺事件が発生しています。
2019年、防衛大学校に勤務する40代の教員が福利厚生として支払われる補助金を不正にだまし取ったとして、懲戒免職処分を受けたのです。
その教員は、妻が経営する貸別荘に宿泊した自衛隊員とその家族の人数を実際より多く申請し、補助金を不正に受け取っていました。

防衛大学校では提携する宿泊施設を利用すると、1泊につき1人2000円の補助金が支給されます。
この制度に目を付けた教員は、学生に「補助金申請に必要な学生カードを提出してくれたら、謝礼を渡す」と持ちかけて、カードを集めました。
そしてこのカードを使って、妻が経営する貸別荘に宿泊したかのように偽装したのです。
これによって得た補助金の一部を学生に渡し、残りの約33万円を教員が不正受給していました。

2017年「積水ハウス地面師詐欺」について

企業をターゲットにした積水ハウス地面師詐欺事件

積水ハウス地面師詐欺事件は、2017年6月に発生した、土地の購入を巡る詐欺事件です。
犯人は複数の詐欺師で構成された地面師グループで、被害者は積水ハウスでした。

地面師という言葉をご存じでしょうか?
地面師とは土地の売買を専門にする詐欺師で、他人の土地をあたかも自分が所有しいるように偽って、その土地を購入させその代金をだまし取るのが手口です。

積水ハウス地面師詐欺事件とは?

積水ハウスも、地面師グループの手口にまんまとハマってしまいました。
詐欺の舞台となったのは東京都品川区にあった旅館「海喜館」の跡地で、約600坪の広さがありました。
積水ハウスは、この土地を約70億円で売ると持ちかけられたのです。
当時は100億円の資産価値があるとして、業界でも注目されていた好立地です。
積水ハウスは分譲マンションの建設地として最適だと考え、この土地の購入を急ぎました。

事件のきっかけは、積水ハウスの土地購入担当者が、土地ブローカーと知り合い、ブローカーから「海喜館」跡地の所有者と名乗る女性を紹介されたことです。
もちろんその女性は本当の持ち主ではなく、所有者になりすました地面師グループの一味です。
女性は身分証明書として偽のパスポートを提示しており、土地の権利証も原本ではなくコピーが使われていました。

権利証などの確認が十分に行われないまま、社長の判断で土地の売買契約が進められていきます。
この間に、本当の所有者から「売買契約を交わしていない」旨の郵便が内容証明で送られてきましたが、積水ハウスは「怪文書」としてそれを無視しました。
社内外から不審に思う意見が出ましたが、社長らはそれらの意見を取り入れず代金支払いを決めたのです。

本来なら、このような大きな取り引きは慎重に検討し、役員全員の承認を得た上で行われるべきです。
しかし、それらの検討が十分に行われないまま、社長など一部の経営陣が独断で取り引きを決定したため、社内では「社長案件」と呼ばれていたとのことです。

積水ハウスは代金を支払った後、法務局に仮登記申請を行いました。
しかし、「海喜館」の跡地は都内に住む男性2人が所有権を取得していたため、法務局は積水ハウスの申請を認めませんでした。
これによって、所有者と名乗った女性が偽物であったことが発覚し、詐欺事件が明るみに出たのです。
被害額は約55億円といわれています。

当時の社長と副社長が充分な検討を行わずに売買を承認したために詐欺被害が起こったとして、株主が訴訟を起こし、被害額を会社に支払うよう求めました。
しかし、裁判所は株主側の訴えを棄却しています。
一方、地面師グループ10人は逮捕され、主犯と見なされる男性に懲役11年が言い渡されるなど有罪判決を受けています。
また、積水ハウスは犯人側に10億円の損害賠償を求め、裁判所は支払いを命じました。

悪徳業者に当たってしまったら

悪徳業者の被害に遭ったときの相談窓口

自宅の修理やリフォーム、株式投資、宝石、健康食品等々、さまざまな商取引で、手抜き工事や法外な金額が請求されるなどの詐欺行為を働く悪質業者の被害が絶えません。
もし悪徳業者の被害に遭ったら、どこに相談すればいいのでしょうか?
悪徳業者に関する相談窓口はいくつかありますが、まずは「消費者ホットライン」に連絡するのがおすすめです。
消費者庁が管轄し、国民生活センターが対応している公的サービスで、悪徳業者などによる被害者を対象とした電話相談サービスです。

悪徳業者の被害に遭ったがどこに相談すればわからないという場合、「消費者ホットライン」に電話すると適切な相談先を紹介してくれます。
局番なしの188で、全国どこからでもつながるようになっています。
その後、お住まいの自治体の相談窓口など、適切な相談先を教えてくれます。

このほか、警察でも相談に応じています。
警察相談専用の電話窓口が設けられており、電話番号は#9110です。
詐欺に遭ったかもしれない、高額な請求を支払うよう脅されているなど、不安を感じたら相談しましょう。
相談内容に詳しい担当者がアドバイスなど、不安解消のための対応を行っています。

弁護士に相談するのもおすすめ

消費者ホットラインや警察相談専用電話は、電話の通信料金は必要ですが、公的な相談窓口なので無料で利用できます。
しかし、公共機関なので解決に時間が掛かったり、思うような解決へと至らないことがあるかもしれません。
もっと手厚いサポートが受けたい場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
法律に詳しい専門家がマンツーマンで対応し、返金交渉などを行ってくれます。

弁護士に依頼する場合、法律相談料や着手金、成功報酬、実費や日当などの費用が発生します。
料金は法律事務所によって異なりますが、相談料は30分~1時間当たり5000円、着手金は被害額の2~8%、成功報酬は被害額の4~16%程度が相場といわれています。
しかし近年は、初回の相談料が無料や、LINEで無料相談を受け付けている法律事務所も増えてきました。
無料相談を利用するだけでも、解決策がみえてくることが多いので、ひとりで悩まずに相談することをおすすめします。
その上で、依頼をするかどうかを決めるとよいでしょう。

弁護士に依頼したくても経済的な余裕がない場合は、法テラス・サポートダイヤルを活用しましょう。
法テラスは国が設立した法的トラブル解決のためサービスで、無料相談を行っています。
また、収入が一定額以下であるなど、決められた基準を満たしていれば法テラスが弁護士費用を立て替えてくれます。

消費者ホットライン、警察相談専用電話、法テラス・サポートダイヤルはいずれ公的なサービスなので、インターネットで検索すると詳しい利用方法などを確認することができます。
悪徳商法の被害はクーリングオフの手続きに期限が設けられているため、なるべく早めに相談するのがポイントです。
クーリングオフで、支払ったお金も無事に返ってくることがあるからです。

還付金詐欺の手口

還付金詐欺とは?

お年寄りなどを中心に被害者が続出しているのが、還付金詐欺です。
還付金とは、所得税を支払いすぎたときに払い戻されるお金のことをいいます。
医療費や寄付金などの所得税控除が受けられる支出があった場合や、予定額として納税を行ったのち、本来の納税額よりも支払金額が多かったという場合に支払いすぎた金額が戻ってきますが、このお金が還付金と呼ばれています。

還付金詐欺は、あたかも支払いすぎた所得税があるように装って、医療費や保険料、国民年金保険などの還付金が戻ってくる偽り、ATMからお金を振り込ませる詐欺です。
役所や税務署、年金事務所など公的な機関の職員になりすまして電話をかけ、ATMで手続きをするとお金が受け取れるとだまし、犯人の口座へとお金を振り込むように誘導します。

還付金詐欺の具体的な手口の例

実際、次のような被害が報告されています。
60代の女性の自宅に、ある日、役所の職員を名乗る男性から電話があり、「100万円以上預金をしている口座があれば、還付金として2万8000円が振り込まれます」と説明されました。
そして「お近くのATMに付いたら、この番号に電話してください。ATMでの手続きの方法を説明します」と指示されたのです。
言われるがままに近くのスーパーにあるATMに出かけ、指示された番号に電話をしたところ「暗証番号985500を入力してください」などの指示があり、その通りに手続きをしたところ、入力した数字は暗証番号ではなく振込金額でした。
被害として、98万5500円が犯人の口座に振り込まれてしまったというものです。

このように、銀行ではなく駅やスーパーなど人目に付きにくい場所にあるATMで振り込むよう指示され、ATM操作の説明では犯人の口座に振り込ませるために、振込金額を「暗証番号」や「受付番号」とだまして入力させる手口が大半です。
被害者は暗証番号や受付番号を入力しているつもりでも、実際にはお金の振り込み金額を入力しているのです。

還付金詐欺に合ったときの対処法

還付金詐欺に騙されないためには、還付金の払い戻しはATMでは行われないことを肝に銘じておくことです。
「ATMで還付金の払い戻し手続きをしてください」という電話は、すべて詐欺です。
役所や税務署などの公的機関から電話がかかってきても、安易に信用しないようにしましよう。

もしあやしい電話がかかってきたら、独りで判断しないことが大切で、家族などの身近な人に相談しましょう。
相談できる人が周りに居ない場合は、警察または消費生活センターに相談することをおすすめします。
被害対策として、迷惑電話防止機器を使用するのもおすすめです。

1970年代「天下一家の会事件」について

天下一家の会事件の概要

天下一家の会事件とは、1967年に実業家の内村健一が始めた無限連鎖講に関する事件のことです。
無限連鎖講とはいわゆる「ねずみ講」のことで、現在では法律で禁じられていますが、当時は規制する法律がなく、天下一家の会の会員は最盛期に180万人以上を数え、内村は2,000億円ほどの巨額を集めたと言われています。

天下一家の会事件とねずみ講の詳細

内村は、以下のような謳い文句で事業を始めました。
「1人が子会員を4人勧誘するだけで、2,080円の元手が最終的に102万4,000円に増える」というものです。

どういう仕組みなのか見てみましょう。
まず、新たに会員になった人が払う2,080円のうち、1,000円が5代上の親会員に、1,080円が会本部に送金されます。
次に、その人は新たに4人の子会員を勧誘します。
そうやって勧誘された子会員も、それぞれ4人の子会員を勧誘するため自分には16人の孫会員ができる計算です。

さらに孫会員、ひ孫会員以下も同様に4人ずつ勧誘していくため、自分の5代下には1,024人の会員がいることになります。
1,024人から1,000円ずつ受け取ることができるため、最初に2,080円を払うだけで楽して102万4,000円を手にできるという計算です。
(資料によって数字が異なるため、実際とは違う可能性があります。)

理屈のうえでは上記のように楽して稼げるわけですが、現実にはこのようにスムーズに会員が増えていくとは限りません。
仮に増えたとしても、いずれ人口を超えることになってしまいます。
たとえば、15代目で会員数は2億人を超える計算です。
つまり最初から破綻することがわかっているのに、無限に会員が増えて儲かり続ける仕組みかのように人々を幻惑するやり口が問題なのです。

ところが内村が事業を始めた当時、ねずみ講を罰する法律がありませんでした。
そのため天下一家の会はどんどん勢力を拡大し、1976年には1万5千人の会員を武道館に集め記念式典を行うほどになります。
同年、内村は全国長者番付第39位にランクインしました。
当時は、毎日2億円が会に入金されたとのことです。

しかしいずれは破綻するのがねずみ講であり、天下一家の会についても大きな社会問題となります。
内村は脱税容疑で逮捕され、1979年にはやっとねずみ講を規制する法律(無限連鎖講の防止に関する法律)が施行されました。

事件から数十年が経ちますが、いまだに似たような勧誘に引っかかる人は後を絶ちません。
冷静になればわかることでも、「絶対に儲かる!」と熱に浮かされている時は冷静に判断できなくなってしまうのでしょう。
この事件を教訓に、似たような詐欺の手口に騙されないようにしたいものです。

1997年「ココ山岡の5年後買い戻し商法」について

詐欺に問われたココ山岡の悪徳商法

横浜元町を拠点に、かつて「ココ山岡」というダイヤモンド販売店がありました。
テレビ番組とのタイアップで全国的に知名度を上げ、この業界ではよく知られる存在でしたが、当初から強引なキャッチセールスで業績を伸ばしていたことがわかっています。

その方法というのが、「5年後買い戻し商法」です。
「必ず値上がりする」、「絶対儲かる」などの現在では法律で禁止されている謳い文句で、独身男性をターゲットに「買ってくれたら、5年後に今払った金額と同じ値段で買い取るから」と言って、安物のダイヤを高級ダイヤかのように見せかけて売りつけました。

そうやって業績を伸ばしたココ山岡ですが、徐々にほころびが生じていき、1997年には自己破産を申し立てることになります。
すぐに破産宣告が下され、全国に展開していた100店舗近くがすべて閉鎖しました。
最終的な負債はおよそ526億円になると言われています。

ココ山岡事件の顛末

ココ山岡が狙ったのは、ふだん宝石などと縁のなさそうな独身男性です。
女性社員を使って声をかけ、言葉巧みにダイヤモンドを買わせようとします。
「結婚の際に男性から女性にダイヤモンドを贈るのがマナーだから」といった文句で購入を促していたようです。

それだけでなく、購入者には特約が付けられました。
それが「5年後買い戻し商法」と言われる独自のやり口です。
これは5年後に当初の販売価格と同じ値段でココ山岡が買い戻すという内容で、その特約に釣られて多くの男性がダイヤモンドを購入しました。

購入者に損のなさそうな特約ですが、実際にはさまざまな制約があります。
また、販売した宝石の相場が今後も上がることがこの特約が成立する前提ですが、実際はバブル崩壊後の不況を受けて相場はだんだん下がっていっていました。
加えてココ山岡の鑑定というのが、実際は子会社が独自に鑑定したもので、一般的な鑑定結果とはかけ離れていたという問題もありました。

このように問題を抱えた商法を続けた挙げ句、ココ山岡は1997年に自己破産となります。
経営難とわかっていながら悪質な商売を続けたということで、関係者は詐欺罪に問われ、実刑判決を受けることになりました。

刑事事件としては上記のように結審したのですが、多数の消費者はクズダイヤのみを手元にローンだけ残るという結果になりました。
そのため全国各地で弁護団が結成され、民事裁判を行います。
最終的には、信販会社が既払い金の返還に応じることになり、全国にいる被害者に均等に分配されるという形で終結しました。

このように、ココ山岡事件とは、バブルの時代を象徴するような強引な悪徳商法の典型です。
会社の存在は消滅しても、その名前は歴史に残り続けるでしょう。