成人式当日に倒産したレンタル着物会社「はれのひ」

よりよって成人式当日に倒産!「はれのひ」事件とは?

一生に一度の晴れの行事、成人式は一人前の大人と認められ、責任ある社会人としての前途を祝う日です。
この大切な日に、「はれのひ」という社名のレンタル着物会社が倒産し、世間から注目を集めました。
はれのひで晴れ着をレンタルしたユーザーの多くが、この倒産のために振り袖が手元に届かず、成人式を台無しにされたのです。

心に傷を残した「はれのひ」倒産事件

よりにもよって成人の式の当日に破産をし、一生に一度の日を台無しにした社長に対して多くの人々がその無責任社を非難しました。
もともと「はれのひ」は、呉服店や写真館を対象にした経営コンサルティング会社として2008年に設立された会社で、設立当時の社名はシーン・コンサルティングでした。
2013年に横浜に着物のレンタルショップ「はれのひ」を開業し、以降神奈川県内や八王子、福岡などレンタルショップを展開し、社名も「はれのひ」に変わりました。

急速に店舗数を拡大したことで、大量に着物を仕入れるはれのひは呉服問屋から優良客として優遇されるようになり、積極的な営業戦略を進めるようになります。
その結果、2015年の年商は約3億8,000万円となり、前年比の倍を記録するほどの成長を遂げています。
その後も2016年に株式上場を視野に入れた経営戦略をとるなど、経営陣はさらなら成長の意欲を高めていました。

しかし、2016年頃から売り上げに陰りが見え始めます。
仕入代金の滞納が発生し始めたのです。
2017年になると銀行からの借金返済も困難になり、呉服問屋など取引先から警戒される事態に陥ります。
その結果、着物が仕入れられずにさらなる経営悪化を招く悪循環となったのです。

このような事態になっても、「はれのひ」の社長は顧客や取引先になんのフォローも行っていませんでした。
このため、レンタルショップはれのひを利用した顧客の多くが多大な被害を受けたのです。

せっかくお金を払ったのに晴れ着が届かないということで、金銭的な被害を受けたのは当然です。
しかし、一生に一度の成人式に着ていく晴れ着がないという心の傷は金銭では補えません。
成人式を迎えた若者と、我が子の成人を心待ちにしていた家族の心を深く傷つけることになりました。
はれのひの社長は、経営者として無責任と非難されても仕方がないでしょう。

同業の着物レンタル店も、1件の不祥事が着物レンタル業界全体の信用を落としたことで大きな迷惑を受けています。
はれのひの倒産によって不信感が高まり、それ以降も利用者から「お宅は当日に倒産するようなことはないのか?」「当日に必ず晴れ着を届けるという誓約書を書いてほしい」など、問い合わせや要望が増えたというのです。
このため、料金を成人式が終わってからの後払いにせざるを得ない業者もあったということです。