Category Archives: 過去の著名な詐欺事件

成人式当日に倒産したレンタル着物会社「はれのひ」

よりよって成人式当日に倒産!「はれのひ」事件とは?

一生に一度の晴れの行事、成人式は一人前の大人と認められ、責任ある社会人としての前途を祝う日です。
この大切な日に、「はれのひ」という社名のレンタル着物会社が倒産し、世間から注目を集めました。
はれのひで晴れ着をレンタルしたユーザーの多くが、この倒産のために振り袖が手元に届かず、成人式を台無しにされたのです。

心に傷を残した「はれのひ」倒産事件

よりにもよって成人の式の当日に破産をし、一生に一度の日を台無しにした社長に対して多くの人々がその無責任社を非難しました。
もともと「はれのひ」は、呉服店や写真館を対象にした経営コンサルティング会社として2008年に設立された会社で、設立当時の社名はシーン・コンサルティングでした。
2013年に横浜に着物のレンタルショップ「はれのひ」を開業し、以降神奈川県内や八王子、福岡などレンタルショップを展開し、社名も「はれのひ」に変わりました。

急速に店舗数を拡大したことで、大量に着物を仕入れるはれのひは呉服問屋から優良客として優遇されるようになり、積極的な営業戦略を進めるようになります。
その結果、2015年の年商は約3億8,000万円となり、前年比の倍を記録するほどの成長を遂げています。
その後も2016年に株式上場を視野に入れた経営戦略をとるなど、経営陣はさらなら成長の意欲を高めていました。

しかし、2016年頃から売り上げに陰りが見え始めます。
仕入代金の滞納が発生し始めたのです。
2017年になると銀行からの借金返済も困難になり、呉服問屋など取引先から警戒される事態に陥ります。
その結果、着物が仕入れられずにさらなる経営悪化を招く悪循環となったのです。

このような事態になっても、「はれのひ」の社長は顧客や取引先になんのフォローも行っていませんでした。
このため、レンタルショップはれのひを利用した顧客の多くが多大な被害を受けたのです。

せっかくお金を払ったのに晴れ着が届かないということで、金銭的な被害を受けたのは当然です。
しかし、一生に一度の成人式に着ていく晴れ着がないという心の傷は金銭では補えません。
成人式を迎えた若者と、我が子の成人を心待ちにしていた家族の心を深く傷つけることになりました。
はれのひの社長は、経営者として無責任と非難されても仕方がないでしょう。

同業の着物レンタル店も、1件の不祥事が着物レンタル業界全体の信用を落としたことで大きな迷惑を受けています。
はれのひの倒産によって不信感が高まり、それ以降も利用者から「お宅は当日に倒産するようなことはないのか?」「当日に必ず晴れ着を届けるという誓約書を書いてほしい」など、問い合わせや要望が増えたというのです。
このため、料金を成人式が終わってからの後払いにせざるを得ない業者もあったということです。

2013年「防衛大学校学生保険金詐欺事件」について

学生が主犯となった防衛大学校学生保険金詐欺事件とは?

防衛大学校学生保険金詐欺事件とは、2013年に防衛大学校で起こった、詐欺事件です。
在校生が、本当はケガをしていないのに虚偽の入院申請を行って保険金を不正に受け取ったのが、防衛大学校学生保険金詐欺事件です。

顛末とその後にも発生した詐欺事件

防衛大学校学生保険金詐欺事件が発覚したのは、2013年の6月に保険会社が防衛大学校に、保険金請求の問い合わせを行ったのことがきっかけでした。
問い合わせを受けて学校側が調査したところ、実際にはケガをしていないのに負傷をして入院したと偽って、保険会社から保険金をだまし取っていた学生がいたことが明らかになったのです。
詐欺の手口は、パソコン作成した偽の受診カードを使って保険金の請求を行うというものでした。
請求額が10万円未満であれば診断書を提出しなくても保険金が申請ができるので、保険金をだまし取りやすかったと指摘されています。

また、防衛大学校の学生が加入する団体保険を取り扱う保険会社は、自衛隊員の天下り先でもありました。
このため、防衛大学校の学生からの保険金請求の申請に対し審査が緩いといわれており、学生の間には「ケガをしたと偽れば、簡単に保険金が下りる」とウワサになっていました。
このうわさを聞きつけた5人の学生が、保険金詐欺を実行します。
虚偽の入院申請によって、1人につき数十万円の保険金をだまし取ったのです。

しかし、その後の調査によると、保険金詐欺に関わっといたのは5人だけではありませんでした。
少なくとも18人の学生が、虚偽の申請によって不正に保険金を受け取っていたことがわかっています。
防衛省の発表によると、学生18人が2010~2013年の間に不正に受けとった保険金は合計で約490万円に上るとのことです。

複数の学生が関わった詐欺事件として大きな話題を呼びましたが、その後も防衛大学校では詐欺事件が発生しています。
2019年、防衛大学校に勤務する40代の教員が福利厚生として支払われる補助金を不正にだまし取ったとして、懲戒免職処分を受けたのです。
その教員は、妻が経営する貸別荘に宿泊した自衛隊員とその家族の人数を実際より多く申請し、補助金を不正に受け取っていました。

防衛大学校では提携する宿泊施設を利用すると、1泊につき1人2000円の補助金が支給されます。
この制度に目を付けた教員は、学生に「補助金申請に必要な学生カードを提出してくれたら、謝礼を渡す」と持ちかけて、カードを集めました。
そしてこのカードを使って、妻が経営する貸別荘に宿泊したかのように偽装したのです。
これによって得た補助金の一部を学生に渡し、残りの約33万円を教員が不正受給していました。

2017年「積水ハウス地面師詐欺」について

企業をターゲットにした積水ハウス地面師詐欺事件

積水ハウス地面師詐欺事件は、2017年6月に発生した、土地の購入を巡る詐欺事件です。
犯人は複数の詐欺師で構成された地面師グループで、被害者は積水ハウスでした。

地面師という言葉をご存じでしょうか?
地面師とは土地の売買を専門にする詐欺師で、他人の土地をあたかも自分が所有しいるように偽って、その土地を購入させその代金をだまし取るのが手口です。

積水ハウス地面師詐欺事件とは?

積水ハウスも、地面師グループの手口にまんまとハマってしまいました。
詐欺の舞台となったのは東京都品川区にあった旅館「海喜館」の跡地で、約600坪の広さがありました。
積水ハウスは、この土地を約70億円で売ると持ちかけられたのです。
当時は100億円の資産価値があるとして、業界でも注目されていた好立地です。
積水ハウスは分譲マンションの建設地として最適だと考え、この土地の購入を急ぎました。

事件のきっかけは、積水ハウスの土地購入担当者が、土地ブローカーと知り合い、ブローカーから「海喜館」跡地の所有者と名乗る女性を紹介されたことです。
もちろんその女性は本当の持ち主ではなく、所有者になりすました地面師グループの一味です。
女性は身分証明書として偽のパスポートを提示しており、土地の権利証も原本ではなくコピーが使われていました。

権利証などの確認が十分に行われないまま、社長の判断で土地の売買契約が進められていきます。
この間に、本当の所有者から「売買契約を交わしていない」旨の郵便が内容証明で送られてきましたが、積水ハウスは「怪文書」としてそれを無視しました。
社内外から不審に思う意見が出ましたが、社長らはそれらの意見を取り入れず代金支払いを決めたのです。

本来なら、このような大きな取り引きは慎重に検討し、役員全員の承認を得た上で行われるべきです。
しかし、それらの検討が十分に行われないまま、社長など一部の経営陣が独断で取り引きを決定したため、社内では「社長案件」と呼ばれていたとのことです。

積水ハウスは代金を支払った後、法務局に仮登記申請を行いました。
しかし、「海喜館」の跡地は都内に住む男性2人が所有権を取得していたため、法務局は積水ハウスの申請を認めませんでした。
これによって、所有者と名乗った女性が偽物であったことが発覚し、詐欺事件が明るみに出たのです。
被害額は約55億円といわれています。

当時の社長と副社長が充分な検討を行わずに売買を承認したために詐欺被害が起こったとして、株主が訴訟を起こし、被害額を会社に支払うよう求めました。
しかし、裁判所は株主側の訴えを棄却しています。
一方、地面師グループ10人は逮捕され、主犯と見なされる男性に懲役11年が言い渡されるなど有罪判決を受けています。
また、積水ハウスは犯人側に10億円の損害賠償を求め、裁判所は支払いを命じました。

1970年代「天下一家の会事件」について

天下一家の会事件の概要

天下一家の会事件とは、1967年に実業家の内村健一が始めた無限連鎖講に関する事件のことです。
無限連鎖講とはいわゆる「ねずみ講」のことで、現在では法律で禁じられていますが、当時は規制する法律がなく、天下一家の会の会員は最盛期に180万人以上を数え、内村は2,000億円ほどの巨額を集めたと言われています。

天下一家の会事件とねずみ講の詳細

内村は、以下のような謳い文句で事業を始めました。
「1人が子会員を4人勧誘するだけで、2,080円の元手が最終的に102万4,000円に増える」というものです。

どういう仕組みなのか見てみましょう。
まず、新たに会員になった人が払う2,080円のうち、1,000円が5代上の親会員に、1,080円が会本部に送金されます。
次に、その人は新たに4人の子会員を勧誘します。
そうやって勧誘された子会員も、それぞれ4人の子会員を勧誘するため自分には16人の孫会員ができる計算です。

さらに孫会員、ひ孫会員以下も同様に4人ずつ勧誘していくため、自分の5代下には1,024人の会員がいることになります。
1,024人から1,000円ずつ受け取ることができるため、最初に2,080円を払うだけで楽して102万4,000円を手にできるという計算です。
(資料によって数字が異なるため、実際とは違う可能性があります。)

理屈のうえでは上記のように楽して稼げるわけですが、現実にはこのようにスムーズに会員が増えていくとは限りません。
仮に増えたとしても、いずれ人口を超えることになってしまいます。
たとえば、15代目で会員数は2億人を超える計算です。
つまり最初から破綻することがわかっているのに、無限に会員が増えて儲かり続ける仕組みかのように人々を幻惑するやり口が問題なのです。

ところが内村が事業を始めた当時、ねずみ講を罰する法律がありませんでした。
そのため天下一家の会はどんどん勢力を拡大し、1976年には1万5千人の会員を武道館に集め記念式典を行うほどになります。
同年、内村は全国長者番付第39位にランクインしました。
当時は、毎日2億円が会に入金されたとのことです。

しかしいずれは破綻するのがねずみ講であり、天下一家の会についても大きな社会問題となります。
内村は脱税容疑で逮捕され、1979年にはやっとねずみ講を規制する法律(無限連鎖講の防止に関する法律)が施行されました。

事件から数十年が経ちますが、いまだに似たような勧誘に引っかかる人は後を絶ちません。
冷静になればわかることでも、「絶対に儲かる!」と熱に浮かされている時は冷静に判断できなくなってしまうのでしょう。
この事件を教訓に、似たような詐欺の手口に騙されないようにしたいものです。

1997年「ココ山岡の5年後買い戻し商法」について

詐欺に問われたココ山岡の悪徳商法

横浜元町を拠点に、かつて「ココ山岡」というダイヤモンド販売店がありました。
テレビ番組とのタイアップで全国的に知名度を上げ、この業界ではよく知られる存在でしたが、当初から強引なキャッチセールスで業績を伸ばしていたことがわかっています。

その方法というのが、「5年後買い戻し商法」です。
「必ず値上がりする」、「絶対儲かる」などの現在では法律で禁止されている謳い文句で、独身男性をターゲットに「買ってくれたら、5年後に今払った金額と同じ値段で買い取るから」と言って、安物のダイヤを高級ダイヤかのように見せかけて売りつけました。

そうやって業績を伸ばしたココ山岡ですが、徐々にほころびが生じていき、1997年には自己破産を申し立てることになります。
すぐに破産宣告が下され、全国に展開していた100店舗近くがすべて閉鎖しました。
最終的な負債はおよそ526億円になると言われています。

ココ山岡事件の顛末

ココ山岡が狙ったのは、ふだん宝石などと縁のなさそうな独身男性です。
女性社員を使って声をかけ、言葉巧みにダイヤモンドを買わせようとします。
「結婚の際に男性から女性にダイヤモンドを贈るのがマナーだから」といった文句で購入を促していたようです。

それだけでなく、購入者には特約が付けられました。
それが「5年後買い戻し商法」と言われる独自のやり口です。
これは5年後に当初の販売価格と同じ値段でココ山岡が買い戻すという内容で、その特約に釣られて多くの男性がダイヤモンドを購入しました。

購入者に損のなさそうな特約ですが、実際にはさまざまな制約があります。
また、販売した宝石の相場が今後も上がることがこの特約が成立する前提ですが、実際はバブル崩壊後の不況を受けて相場はだんだん下がっていっていました。
加えてココ山岡の鑑定というのが、実際は子会社が独自に鑑定したもので、一般的な鑑定結果とはかけ離れていたという問題もありました。

このように問題を抱えた商法を続けた挙げ句、ココ山岡は1997年に自己破産となります。
経営難とわかっていながら悪質な商売を続けたということで、関係者は詐欺罪に問われ、実刑判決を受けることになりました。

刑事事件としては上記のように結審したのですが、多数の消費者はクズダイヤのみを手元にローンだけ残るという結果になりました。
そのため全国各地で弁護団が結成され、民事裁判を行います。
最終的には、信販会社が既払い金の返還に応じることになり、全国にいる被害者に均等に分配されるという形で終結しました。

このように、ココ山岡事件とは、バブルの時代を象徴するような強引な悪徳商法の典型です。
会社の存在は消滅しても、その名前は歴史に残り続けるでしょう。

2014年「東京電力賠償金詐取事件」について

東京電力賠償金詐取事件の概要

東京電力賠償金詐取事件とは、東日本大震災後の福島第一原発での事故の影響を受けて、売上が落ちたという理由で飲食店に虚偽の請求をさせ、東京電力から多額の賠償金を騙し取ったという事件です。
2012年ごろからこのような手口で詐欺事件を働いたかどで、2019年10月に札幌市豊平区に住む無職の男を始め男女9人が逮捕されました。
さらに、11月には新たな容疑で男女10年が再逮捕されました。

東京電力賠償金詐取事件の顛末

警視庁への取材によると、具体的な逮捕容疑は、福島県いわき市にて営む飲食店の売上が原発事故の影響で著しく下がったとして、損害賠償金を請求する書類を作成し1000万円以上を騙し取ったことに関することです。
ところが、警察の調べに主犯格の男は黙秘しており、同時に逮捕されたうちの数人も否認しています。

しかし、捜査が進むうちにさまざまなことが明らかになりました。
まず主犯格の容疑者は、別の詐欺事件で服役中の元NPO法人の職員の男と深い関係があります。
そのNPO法人とは、今回の事故のような賠償問題において賠償金の請求を代行するという団体です。
その団体の職員を務めていた男のグループで、今回の事件の主犯格の男は幹部を務めていたとされています。

彼はその後独立し、福島県いわき市を拠点にして活動を始めたということです。
さらにその後いわき市内の飲食業者およそ20人に賠償金を請求するよう促し、合計5億円近くを東京電力に払わせ、そのうちの80~90%を手数料として懐に入れていました。

具体的な手口は、まずリクルーターの役割を務める女がスナックの経営者などに近づき、「お店をやっていたのなら東電に賠償金請求ができるから申請しないか?」と持ちかけます。
書類の作成も経営者に代わって行い、その際、現実とはまったく異なる売上を記入し、実際よりも大きな売上があったかのように見せかけて巨額の賠償金を請求したわけです。
経営者自身は申請手続きについてよく知らず、書類をどう書けばよいかもわからなかったとのことで、気がついた時には後に引けなくなったと語っています。
そこにつけ込んだ悪質な犯罪と言えるでしょう。

このような架空の請求に対して、東京電力はなぜ素直に応じたのかも疑問ですが、元東電社員の話によると申請内容を詳しくチェックするような余裕がなかったとのことです。
それに加え東電は加害者という意識があったため、被害者に対する負い目もあり、形式の整った書類で申請されれば支払わざるを得なかったと語っています。

この事件は東京電力が直接の被害者に見えますが、実際は電力料金を負担する一般の人たちが被害者と言えます。
復興のために電気料金の値上げや税金に応じている人たちの思いを踏みにじる詐欺事件と言えるでしょう。

2020年「津市相生町自治会長事件」について

津市相生町自治会長事件の概要

2020年2月、三重県津市相生町の自治会長を務めていた男が詐欺の疑いで逮捕されました。
その後、5月には市の臨時職員も共犯の疑いで逮捕されたのですが、元自治会長の男と市の間にゆがんだ関係があったと報道されています。

事件の概要は、相生町という津市の中心部からやや離れた町で自治会長を務めていた男が、実際にはやっていない工事をやったと報告したりなどして市から補助金を騙し取ったことです。
たとえば環境パトロールと称して、通常車1台で事足りるのに、4台分の費用や報酬を請求したり、市職員に土下座や丸坊主を強いるようなパワハラがあったりといったことが報道されています。

また、男の経営する飲食店を利用するよう市の職員に働きかけたり、私有地の草刈りや町内会事務所のガレージの修理を市の職員にさせたりなど、市職員をほぼ私物化していたとのことです。
さらに、気に入らない市職員に対して異動させるようなこともありました。

なぜ自治会長がそれほど大きな権力を持つようになったかというと、暴力団や同和問題が背景にあるようです。
そうした威力をバックに市議会に常態的に介入していたとされていますが、マスコミでは一部タブーとして報道されていない問題もあります。

相生町自治会長事件の詳細とその後

男はすでに詐欺の容疑で3度も逮捕されています。
町のゴミ箱の設置費用として75万円、自治会掲示板の補修費用として13万円、集会所の修繕費用として100万円など、さまざまな名目で市の補助金を騙し取りました。

男が逮捕されて後、2020年5月には市の臨時職員の男が三重県警によって詐欺共謀の疑いで逮捕されました。
元自治会長の男と共謀して、自治会に防犯灯を設置する工事をしたと装って、工事費用として市の補助金を52万円騙し取ったとされています。

先に述べた威力が背景にあったことで、元自治会長の男には市の職員は逆らえなかったと言われています。
男が一人で詐欺を工作して補助金を不正受給したというのではないようです。

たとえば、直々に市の幹部に電話を入れて職員をよこさせ、雑談から徐々に「掲示板をきれいにしてくれ」「ガレージを修理してくれ」「ゴミ箱を設置してくれんか」などと話を持っていき、実際に補修工事等をさせられたとの話があります。
実際は男が職員に現金を渡し、資材の購入や工事をさせていたのですが、そのお金が実は市の補助金でした。
一般の職員はそんなことも知らず、上司と男の言うままに働いていたと言います。

事件が発覚し男が逮捕されてからも、津市はまだ落ち着いていません。
津市の幹部を含む150人以上の職員が処分を受けたほか、土下座や丸刈りを強要された挙げ句、退職まで追い詰められた元職員からの訴えで、三重弁護士会は、市が適切な対処をしなかったのは人権侵害に当たるとも発表しています。

2014~2020年「第一生命多額詐取事件」について

「第一生命多額詐欺事件」とは?

銀行員の横領事件など、大規模な詐欺事件は後を絶ちませんが、その中でも世間を震撼させたのが「第一生命多額詐欺事件」です。

2002年から2020年まで第一生命に勤務していた女性社員(現在は退職)が担当する顧客24人に対し、現金を預けるよう持ち掛け、資金を持ち逃げしたというのが事件の概要になります。
この女性社員は顧客に対して「特別な投資枠がある」などと持ち掛けて現金を預けさせたうえ、その手口を約6年にわたって繰り返してきましたが、彼女の業績を不審に思った外部からの告発により事件が露見することになりました。

事件発覚後、女性社員は詐欺罪で告発されたうえに法廷で賠償責任を追及されましたが、その時点で彼女に返済能力はほとんど残されておらず、被害者への賠償の目途は今なおもたっていないのが現状です。

事件が起きた心理的背景

なぜ、「第一生命多額詐欺事件」のような詐欺が成立してしまったのでしょうか。
心理学的に検証していきましょう。

この事件のポイントは「特別」というところです。
女性社員は24人の顧客ひとりひとりに対し、「あなただけ……」という言葉を使って誘導し、現金を預けるように仕向けています。
人間は本質的に「特別」という言葉に弱く、たとえ根拠が薄くても「あなたにだけ教えます」などと言われるとついつい信じてしまいます。

さらに意識したいのが「ハロー効果」です。
ハローとはもともと後光を表し、それが転じて、肩書きや権威、ステータスを表すようになりました。
この詐欺事件の場合、女性社員は第一生命の社内でもトップクラスの業績を誇り、事件当時でもかなりのベテランでした。

キャリア、実績ともに充分な社員によって話の信憑性が増し、顧客のほうもついつい「この人が言うなら信頼できる」と思い込んでしまったのではないでしょうか。

告訴と告発の違いとは?

「第一生命多額詐欺事件」は被害者の告訴ではなく、外部告発によって露見しました。
告訴と告発はよく似ているようですが、意味はまったく違います。

告訴は直接の被害者がみずからの意志で被害を訴え出ることですが、告発は事件を察知した外部の人間が事件として露見させることを表します。

つまり、告訴と告発では訴え出る主体が異なり、その後の訴訟手続きも変わってきます。
この種の事件を検証する場合は、告訴と告発の違いにも注意しましょう。

肩書きには要注意!

現役の社員が担当顧客の資金を持ち逃げしたという「第一生命多額詐欺事件」。
訴えられた女性社員はすでに高齢ということもあり、顧客への賠償の目途は未だに立っていません。

皆さんも、特別、優遇などという、人間心理のスキを突いた詐欺事件には充分注意し、肩書きや社会的ステータスを安易に信用しないようにしましょう。

複数年代「M資金詐欺事件」について

大手企業や有名人を騙した、M資金詐欺事件

大手企業や有名人を広く騙した詐欺事件として、繰り返し形を変えて行われる事件の1つが、M資金詐欺事件です。

このM資金という言葉は元々、第2次世界対戦後に秘本が隠していた莫大な隠し財産が、GHQによって保護され使われているという都市伝説を元に作られた、隠れ資金の事を指します。
このM資金が実在にある物として、自分は大金を持っており、元手がたっぷりとあると被害者に錯覚させ、偽の融資詐欺を持ちかけてお金を出させるというのが、この事件のやり口です。

2011年に発覚したM事件では、元横綱の朝青龍さんから1億円をだまし取ったとして、男二人が逮捕されるという事がありました。

こちらの事件の発端は、2009年、フィリピンに保管する金塊をとかして現金化し、一兆円をモンゴルに投資したいと朝青龍さんに持ちかけたことにあります。
M資金であるため、金塊を持ち出すための一億円が必要と伝え、結果として2回、計二億円の詐取に成功。
当然何も返ってこない事態に朝青龍さんが気づいた結果、この詐欺事件が発覚することとなったのです。

実はこのM資金詐欺事件は、この一件に留まりません。
徳川埋蔵金や山下財宝などをちらつかせて行われる詐欺や、アフリカの政府高官を名乗る人物から資金援助の知らせが届くナイジェリアの手紙詐欺など、様々な形で世間を騒がせてきました。

M資金は都市伝説的存在だからこそ、おとぎ話のように姿を変え続け、様々な形になって、時代に沿った詐欺事件を引き起こしているのです。
コウした詐欺事件の被害者として、全日空を始め、日産で働く財界人や、俳優の故・田宮二郎さんなど、各種芸能人も、詐欺事件の被害者となりました。

偽の融資話には要注意

M資金詐欺事件に共通して言えるのが、莫大な元手があり、その元手を出すためにお金を出して欲しいとお願いする事にあります。
そもそもの元手があるのにも関わらず、ちょっとお金を融資しただけでそれ以上のお金をもらえるというケースはあるはずも無いため、上手い話には注意が必要と言えるでしょう。

自分が儲けるという事では無く、寄付という形で人の善意を利用したタイプのM資金詐欺事件もあります。
朝青龍さんのケースが正にそのケースに当てはまり、非常に狡猾で陰湿なやり方であったと言えるでしょう。

M資金というものはあくまで都市伝説ですので、噂はありますが、世界各国どんな形であれ、残念ながら存在しません。
本当に存在するとしても、そのお金を自分が理由も無くもらえるなどという上手い話はありません。
引き出すためのお金を渡すくらいであれば、そのお金をもっと自分のために有意義に使うようにすることが大切です。

1990年代「モード・アバンセ事件」について

議員ぐるみで行われた、モード・アバンセ闇融資事件

1990年代に起った、議員ぐるみでおきた衝撃の詐欺事件として知られているのが、モード・アバンセ闇融資事件です。
こちらは、協業組合モード・アバンセに、高知県の元副知事や当時の県部長から、12億円もの出所不明金闇融資が行われた事件として、大きく取りざたされました。

県では当時、この事件以前にも、高知商銀巨額焦付事件など、県における不手際が発覚したばかりで、県政の情報が知事まできちんと上がらない、ずさんな管理体制が注目されていたこともあり、より事件は騒動へと発展。
何が原因で、出所はどこで、一体どういった心持ちで県政を行っているのかと、地域住民はもとより、他県からもバッシングされる事態に発展したのです。

元々県がモード・アバンセに闇融資を行ったのは、部落解放同盟が大きな理由と言われています。
モード・アバンセは元々、同地和区住民の雇用の確保という名目を掲げつつ、部落解放同盟の考え方を元に、事業を展開。
この部落解放同盟の考え方に大きく賛同をしていた当時の知事によって、この闇融資が行われていたとされています。

モード・アバンセは経営開始前から事業の先行きが心配されるほど、非常に資金繰り、資金計画が怪しい所があり、融資をお願いした四国銀行から協力を男割りされる事態に発展。
事情を聞きつけた県知事の独断と偏見によって、モード・アバンセのみを対象とした地域産業高度化支援資金制度要項を作り上げ、計12億円もの融資が行われる事となったのです。

要項を利用して非常に狡猾な詐欺

この特別要項は表向き、地域産業を応援するために作られ、地元の産業にサポートを行う事を掲げ作られましたが、当然目的はモード・アバンセのみですので、他への融資は一切行われませんでした。
県が独断でこの要項を作り上げ、悪用していたことが当時話題となり、県費から直接融資をしていたことも、大問題へと発展したのです。

元々県が1つの企業に執着をし、あろうことか県のお金から融資をすることなど、あってはならないことです。
その融資が県にとっても有意義で、非常に重要な融資となるのであれば話は別ですが、結果としてモード・アバンセは、ほとんどの予算を焦げ付かせ、無駄金となって消えました。

隠蔽工作を行い予算から流用していた点も悪質で、高知銀行からの1日融資で残高をごまかすなど、非常に計画的に犯行が行われていたと言えるでしょう。

県の貴重な12億円が、泡となって消えた恐ろしい事件、モード・アバンセ闇融資事件。
県の管理体制のずさんさ、上の言いなりにならざるを得ないような労働環境を根本から見直さないといけない、きっかけとなった事件として知られています。