ニセ社員の手口

ニセ社員の特徴、手口の詳細

2018年の10月頃に大きなニュースとして取り上げられた詐欺事例として「地面師」ということがありました。
「地面師」というのは土地に関する大規模な詐欺を働いていたグループを指す言葉で、偽造書類を使って不動産取引を行おうとしたところを一斉に摘発されることになりました。

実はこの地面師グループは実際に逮捕に至るまで非常に大規模な取引を行っており、中でも2019年1月に逮捕をされた主犯格とみられる男性が関わった積水ハウスとの約63億円にものぼる架空取引は大きな話題となりました。

この地面師というグループが行っていたのはいわゆる「ニセ社員」と言われる詐欺手法の一つで、本来であれば全く無関係であるはずの企業や組織の代表であるかのように装い、本来の権利者から金銭を奪い取るという巧妙な方法です。

非常に象徴的な事例であるのでこの地面師の手口を使って説明をしていくと、まず都内の一等地(実際の事例では東京・五反田)の土地の本来の所有者の印鑑登録証明書やパスポートなどの証明書類を偽造をし、あたかも本人であるかのような役を設定します。

そうして所有者になりすました人間が大手の土地ブローカーや仲介業者、不動産業者などに対して土地の売買を持ちかけ、偽造した書類をもとにして取引を行います。

実は今回の架空取引に使用された実際の五反田の土地は山手線の駅から徒歩3.分の好立地ながた所有者が不明のままほとんど使用されていない古い土地となっており、大手不動産業者であれば誰でも知っている喉から手が出るほど欲しい土地だったのです。

そこで急に所有者になりすました人が取引を持ちかけてきたとあれば、絶好のチャンスとばかりに飛びつくことになります。
実際には不動産のプロであるはずの大手デベロッパーだけでなく、介入した弁護士やその他専門職ですらあっさり騙されてしまっていたというのですからかなり巧妙なニセ社員がいたということになります。

実際に70億近くの契約をしたものの、振込が済んだ途端に取引を持ちかけた会社や所有者であったはずの人と連絡を取れなくなってしまっていたのですか、ここ数年で最も大規模な不動産詐欺事例であったと言えるでしょう。

他にもあるニセ社員の事例

ここまで大規模ではないものの、軽微なニセ社員詐欺というのは非常に多く発生しています。
例えば消費者金融のキャッシング窓口や銀行のATMの近くに待機して、お金を下ろしたり借り入れをしようとしたりした人に近づき「特別に借り入れできるようにする」といった社員を装った勧誘をしていきます。

またはカードの不正が疑われるのでチェックさせて欲しいといったことを言って暗証番号を聞き出したり、カードをスキミング(電磁情報のコピー)をしたりするような事例もあります。