1997年「ココ山岡の5年後買い戻し商法」について

詐欺に問われたココ山岡の悪徳商法

横浜元町を拠点に、かつて「ココ山岡」というダイヤモンド販売店がありました。
テレビ番組とのタイアップで全国的に知名度を上げ、この業界ではよく知られる存在でしたが、当初から強引なキャッチセールスで業績を伸ばしていたことがわかっています。

その方法というのが、「5年後買い戻し商法」です。
「必ず値上がりする」、「絶対儲かる」などの現在では法律で禁止されている謳い文句で、独身男性をターゲットに「買ってくれたら、5年後に今払った金額と同じ値段で買い取るから」と言って、安物のダイヤを高級ダイヤかのように見せかけて売りつけました。

そうやって業績を伸ばしたココ山岡ですが、徐々にほころびが生じていき、1997年には自己破産を申し立てることになります。
すぐに破産宣告が下され、全国に展開していた100店舗近くがすべて閉鎖しました。
最終的な負債はおよそ526億円になると言われています。

ココ山岡事件の顛末

ココ山岡が狙ったのは、ふだん宝石などと縁のなさそうな独身男性です。
女性社員を使って声をかけ、言葉巧みにダイヤモンドを買わせようとします。
「結婚の際に男性から女性にダイヤモンドを贈るのがマナーだから」といった文句で購入を促していたようです。

それだけでなく、購入者には特約が付けられました。
それが「5年後買い戻し商法」と言われる独自のやり口です。
これは5年後に当初の販売価格と同じ値段でココ山岡が買い戻すという内容で、その特約に釣られて多くの男性がダイヤモンドを購入しました。

購入者に損のなさそうな特約ですが、実際にはさまざまな制約があります。
また、販売した宝石の相場が今後も上がることがこの特約が成立する前提ですが、実際はバブル崩壊後の不況を受けて相場はだんだん下がっていっていました。
加えてココ山岡の鑑定というのが、実際は子会社が独自に鑑定したもので、一般的な鑑定結果とはかけ離れていたという問題もありました。

このように問題を抱えた商法を続けた挙げ句、ココ山岡は1997年に自己破産となります。
経営難とわかっていながら悪質な商売を続けたということで、関係者は詐欺罪に問われ、実刑判決を受けることになりました。

刑事事件としては上記のように結審したのですが、多数の消費者はクズダイヤのみを手元にローンだけ残るという結果になりました。
そのため全国各地で弁護団が結成され、民事裁判を行います。
最終的には、信販会社が既払い金の返還に応じることになり、全国にいる被害者に均等に分配されるという形で終結しました。

このように、ココ山岡事件とは、バブルの時代を象徴するような強引な悪徳商法の典型です。
会社の存在は消滅しても、その名前は歴史に残り続けるでしょう。