1980年代「豊田商事事件」について

被害総額2000億円、豊田商事事件

1980年代に起きた金融商品取引詐欺として有名なのが、豊田商事事件です。
被害総額は何とこの詐欺事件だけで2000億円にも及び、多くの高齢者が被害に遭ったとされています。

豊田商事事件では、顧客に支払い金額に応じて金地金を購入させる契約が行われましたが、その後現物が顧客に支払われる事は無く、証券を差し出して、証券の保管をお願いされます。
金は企業側の金庫に保管をされ、いずれ支払われるとのことでしたが、当然その証券は無価値な物で、ただ紙を購入するために、高額の契約金を支払ったこととなりました。

信用取引の恐ろしい手口と言えますが、言葉巧みに騙されてしまう顧客が続出。
詐欺グループはこの手口を利用し続けて、結果として2000億円も詐取する事になったのです。

詐欺事件によっては、最初はきちんとしたビジネスで行うつもりだった物の、後から経営が追いつかず、結果として詐取するという形になるものもあります。
ですが、こちらの事件は当然、最初から詐欺をするつもりで行われました。
証券を本物に見えるように細工し、確実に利益を上げることが出来ますよと、多くの顧客を誘導した、非常に狡猾な詐欺事件と言えるでしょう。

絶対に儲かる投資等無い

世の中には上手い話が山のように転がっていますが、ほとんどの場合、豊田商事事件と同じような詐欺目的の偽投資話と言えるでしょう。
絶対に儲かるという投資話は世の中にはありませんので、自分ばかりが儲かるような話を持ちかけられたら、注意が必要です。

豊田商事事件では、ターゲットを高齢者に絞り、家族と相談できないような、一人暮らしの老人に無差別に電話をしていったとされています。
電話勧誘を無差別に行って、話を聞いてもらえる、勧誘を行なえそうなご家庭を見つけたら、実際に家に赴き、詐欺を繰り返して言ったのです。

上手い話で言葉巧みに騙すだけでは無く、時には高齢者の人情につけ込んで、優しさを踏みにじるような詐欺を行ったケースも多々あります。
お金の契約を交わした後からは一切連絡が付かないというケースも多く、豊田商事事件の卑劣さを表していると言えるでしょう。

1980年代当時に流行した詐欺事件として、現在でも語り継がれていますが、こうした詐欺事件は、1980年代に限ったことではありません。
投資話を持ちかけて、全く無価値の物にお金を支払うという根本的な詐欺事件は、今でも止むことが無いのです。

いつの時代もターゲットとされやすいのは、判断力が鈍りがちになる高齢者の傾向があります。
年金をコツコツ貯蓄しているという方が多いことも、詐欺被害のターゲットにされやすい理由と言えるため、ご家族の様子を気遣うことが重要です。