2020年「津市相生町自治会長事件」について

津市相生町自治会長事件の概要

2020年2月、三重県津市相生町の自治会長を務めていた男が詐欺の疑いで逮捕されました。
その後、5月には市の臨時職員も共犯の疑いで逮捕されたのですが、元自治会長の男と市の間にゆがんだ関係があったと報道されています。

事件の概要は、相生町という津市の中心部からやや離れた町で自治会長を務めていた男が、実際にはやっていない工事をやったと報告したりなどして市から補助金を騙し取ったことです。
たとえば環境パトロールと称して、通常車1台で事足りるのに、4台分の費用や報酬を請求したり、市職員に土下座や丸坊主を強いるようなパワハラがあったりといったことが報道されています。

また、男の経営する飲食店を利用するよう市の職員に働きかけたり、私有地の草刈りや町内会事務所のガレージの修理を市の職員にさせたりなど、市職員をほぼ私物化していたとのことです。
さらに、気に入らない市職員に対して異動させるようなこともありました。

なぜ自治会長がそれほど大きな権力を持つようになったかというと、暴力団や同和問題が背景にあるようです。
そうした威力をバックに市議会に常態的に介入していたとされていますが、マスコミでは一部タブーとして報道されていない問題もあります。

相生町自治会長事件の詳細とその後

男はすでに詐欺の容疑で3度も逮捕されています。
町のゴミ箱の設置費用として75万円、自治会掲示板の補修費用として13万円、集会所の修繕費用として100万円など、さまざまな名目で市の補助金を騙し取りました。

男が逮捕されて後、2020年5月には市の臨時職員の男が三重県警によって詐欺共謀の疑いで逮捕されました。
元自治会長の男と共謀して、自治会に防犯灯を設置する工事をしたと装って、工事費用として市の補助金を52万円騙し取ったとされています。

先に述べた威力が背景にあったことで、元自治会長の男には市の職員は逆らえなかったと言われています。
男が一人で詐欺を工作して補助金を不正受給したというのではないようです。

たとえば、直々に市の幹部に電話を入れて職員をよこさせ、雑談から徐々に「掲示板をきれいにしてくれ」「ガレージを修理してくれ」「ゴミ箱を設置してくれんか」などと話を持っていき、実際に補修工事等をさせられたとの話があります。
実際は男が職員に現金を渡し、資材の購入や工事をさせていたのですが、そのお金が実は市の補助金でした。
一般の職員はそんなことも知らず、上司と男の言うままに働いていたと言います。

事件が発覚し男が逮捕されてからも、津市はまだ落ち着いていません。
津市の幹部を含む150人以上の職員が処分を受けたほか、土下座や丸刈りを強要された挙げ句、退職まで追い詰められた元職員からの訴えで、三重弁護士会は、市が適切な対処をしなかったのは人権侵害に当たるとも発表しています。